広汎性発達障害で障害年金を受け取れる場合

文責:所長 弁護士 田頭博文

最終更新日:2025年04月11日

1 広汎性発達障害とは?

 広汎性発達障害とは、コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称のことをいいます。

 例えば、自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害と呼ばれるような障害が含まれます。

2 広汎性発達障害で障害年金を受け取れる場合

 発達障害については、たとえ知能指数が高くても、社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定が行われます。

 各等級に相当すると認められるものの例としては、以下のとおりです。

 

⑴ 1級

 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

 

⑵ 2級

 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

 

⑶ 3級

 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

3 発達障害の認定の特徴

 発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いではなく、諸症状を総合的に判断して認定が行われます。

 発達障害は、通常低年齢で発症する疾患ですが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、その受診日が初診日として扱われます。

 労働に従事している場合でも、そのことをもって、直ちに日常生活能力が向上したものとは捉えられません。

 現に労働に従事している方については、その療養状況、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認した上で、日常生活能力を判断することとされています。

PageTop